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未成年者

このページの最終更新日 2017年5月8日

【目次】

未成年者とは

〔考察:婚姻解消後の成年擬制の効果〕

未成年者の行為能力

1 原則

〔解説:取消しとは〕

2 例外

〔参考:会社法584条〕

未成年者の保護者

1 法定代理人

〔参考:未成年後見人の数〕

2 法定代理人の権限

問題演習

コメント

▼ 未成年者とは

未成年者とは、20歳未満の者を言う。民法は、年齢20歳に達した時をもって成年とする(4条)。

年齢は、出生の日から起算して暦にしたがって計算する(年齢計算ニ関スル法律)。

20歳未満の者であっても、婚姻(結婚)をすることによって成年に達したものとみなされる(753条)。これを婚姻による成年擬制と言う。20歳未満の配偶者のある者は、成年擬制によって行為能力に関して成年者と同じように扱われる。

もっとも、成年擬制が認められるのは、行為能力や親権といった私法的な法律関係にかぎられる。選挙権の有無や飲酒・喫煙の禁止などの公法的な法律関係においては、婚姻後も依然として未成年として扱われる。

〔考察〕婚姻解消後の成年擬制の効果

未成年者が成年に達する前に婚姻を解消した場合、成年擬制の効果はどうなるか。成年擬制制度の根拠に関連して問題となる。

通説は、成年擬制の根拠を婚姻の事実が精神能力の成熟を示しているからであるとして、婚姻が解消した後もなお成年擬制の効果が継続すると主張する。

これに対して、有力説は、成年擬制の根拠を婚姻生活の独立性を保護することにあるとして、婚姻の解消後は成年擬制の効果が及ばないと主張する。

関連事項

・期間の計算方法について  期間の計算方法

▼ 未成年者の行為能力

1 原則

未成年者が法律行為を行うには、原則として法定代理人の同意を得なければならない(5条1項本文)。

未成年者が法定代理人の同意を得ないでした法律行為は、取り消すことができる(同条2項)。取り消すことができる者(取消権者)は、未成年者本人(とその承継人)およびその代理人である(120条1項)。

なお、未成年者が法定代理人の同意を得て法律行為を行うには、未成年者に意思能力が備わっていることが必要である。たとえ未成年者が法定代理人の同意を得ていたとしても、未成年者に意思能力のない場合には、法律行為は無効となる。

〔解説〕取消しとは

取消しは、法律行為の効力を否定する手段のひとつである。

取り消すことができる行為は、一応有効であるが、取消しの意思表示がなされるとはじめから無効であったものとみなされる(121条)。

取消しができる者(取消権者)は、法定されている(120条参照)。

取り消すことができる行為は、追認(取消権の放棄)をすることによって確定的に有効になる(122条参照)。

関連事項

・法律行為とはなにかについて  法律行為とは

・代理・法定代理について  代理とは

・取消しについて  取消し

2 例外

次に掲げる法律行為については、例外的に、未成年者であっても法定代理人の同意を得ずに単独で行うことができる。

① 単に権利を得、または義務を免れる法律行為(5条1項ただし書)

たとえば、負担のない贈与を受けることや、贈与を撤回する(550条)ことなどがこれにあたる。

このような行為は、未成年者に不利益となるおそれがないために、未成年者の行為能力の制限についての例外とされている。

なお、債権の弁済を受領することは、権利を失うことになるから、この場合には該当しない。

② 処分を許された財産の処分(5条3項)

これには、親権者などの法定代理人が使用目的を定めて処分を許した財産をその目的の範囲内で処分する場合(たとえば、学資として渡された金銭を授業料として納付すること)と、法定代理人が使用目的を定めないで処分を許した財産を処分する場合(たとえば、小遣いで何かを買うこと)とがある。

未成年者の法定代理人が当該財産の処分について同意を与えているので、未成年者であっても処分することができる。

③ 営業を許された未成年者がその営業に関してする法律行為(6条)

本条における「営業」とは、営利を目的とする独立の事業を言い、雇用されて従業員として働くこと(職業)を指すものではない。

営業の許可は、種類を特定してなされる(同条1項参照)。

そして、許可された種類の営業に関するかぎり、その営業に直接間接に必要な一切の行為を単独で行うことができる(大判大4.12.24)。 

未成年者が営業に堪えることができない事由があるときは、法定代理人はその許可を取り消すことができる(同条2項、823条2項)。許可の取消しは、将来に向かってのみ効力を生じ、許可の取消し前にした行為の効力には影響しない。

未成年者のする営業が商業であるときは、登記しなければならない(商法5条)。

〔参考〕会社法584条

持分会社の無限責任社員となることを許された未成年者は、社員の資格にもとづいてする行為に関しては、行為能力者とみなされる。

関連事項

・取消しの効果(遡及的無効)について  取消し

▼ 未成年者の保護者

1 法定代理人

未成年者の保護者は、法定代理人である。

法定代理人となる者は、第一に親権者(父母)である(818条・824条)。

親権者がいないとき、または、親権者が子の財産管理権を有しないときは、法定代理人として未成年後見人が付けられる(838条1号)。

〔参考〕未成年後見人の数

平成23年民法改正前は、未成年後見人は1人でなければならないとされていたが(改正前842条)、同改正により、この制限が撤廃された。

関連事項

・法定代理における代理権の発生について  代理権の発生と消滅

2 法定代理人の権限

未成年者の法定代理人は、未成年者の行為能力の制限との関係で、次のような権限を有する。

 未成年者の行う法律行為に同意を与える権限(同意権)(5条1項)

 未成年者を代理して財産上の法律行為をする権限(代理権)(824条・859条)

 未成年者が同意を得ずにした法律行為を取り消す権限(取消権)および追認する権限(追認権)(5条2項・120条1項・122条)

未成年者の法定代理人は営業許可権(6条)・職業許可権(823条1項)を有するが、その法的性質は同意権である。

関連事項

・制限行為能力者の種類(表)  制限行為能力者制度

・取り消すことができる行為の追認について  取消し

▼ 問題演習

国家試験過去問題のなかから理解度チェックに役立つ良問を掲載しています。

 正誤問題

(司法平18-1-1 → 平成18年司法試験民事系第1問選択肢1)

(1) 共に18歳の夫婦が自分たちだけで決めて行った離婚は、取り消すことができない。(司法平20-3-1)

(2) 負担のない贈与をする旨の申込みを受けた未成年者が法定代理人の同意を得ないでした承諾は、取り消すことができない。(司法平21-1-1)

(3) 未成年者は、その法定代理人が目的を定めないで処分を許した財産を自由に処分することができる。(司法平22-1-ア)

(4) 未成年者であっても、許可された特定の営業に関しては、行為能力を有する。(司法平20-2-オ)

(5) 未成年者が、法定代理人から営業の許可を得た後、法定代理人の同意を得ないで当該営業に関しない行為をした場合には、その行為は取り消すことができない。(司法平21-1-2)

(6) 未成年者は、その契約を取り消すことができることを知って契約を締結したときでも、その契約を取り消すことができる。(司法平24-2-3)

 正解

(1) 正  (2) 正  (3) 正  (4) 正  (5) 誤  (6) 正

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