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意思表示とは

このページの最終更新日 2015年9月18日

【目次】

意思表示と法律行為

意思表示の要素

1 意思表示の形成過程

【図:意思表示の形成過程】

2 効果意思と表示行為

【図:意思表示の構造】

〔考察:表示意思の要否〕

3 意思表示における動機の位置づけ

意思表示の瑕疵と効力

1 意思の不存在と瑕疵ある意思表示

2 意思主義と表示主義

問題演習

コメント

▼ 意思表示と法律行為

意思表示は、一定の法律効果の発生を欲する意思を外部に表示する行為である。たとえば、ある者が売買を成立させようとするときには、代金の支払いと引き換えに目的物の引渡しを受ける権利を取得することを意欲して、その物を「買いたい」という意思表示がなされる。あるいは、別の者によって、物の引渡しと引き換えに代金の支払いを請求する権利を取得することを意欲して、その物を「売りたい」という意思表示がなされる。そして、当事者双方からそのような意思表示がなされて両者の意思表示が合致すると、売買契約という法律行為が成立する。

このように、意思表示は法律行為を構成する要素として不可欠のものであり、法律行為は意思表示を中心的な要素として構成される。

関連事項

▼ 意思表示の要素

1 意思表示の形成過程

意思表示は、どのようなプロセスをたどって形成されるのか。伝統的な理解によれば、意思表示は、【動機効果意思表示意思表示行為】というように、4つの要素が段階的に成立する過程を経て形成されていく。(ただし、動機は意思表示の要素とはされていない。)

【図】意思表示の形成過程
【図】意思表示の形成過程

2 効果意思と表示行為

意思表示の要素として重要なのは、効果意思と表示行為の二つの要素である。

(1) 効果意思

効果意思は、一定の法律効果の発生を欲する意思である。たとえば、「その土地を買いたい(代金を支払うことと引き換えに、その土地の所有権と明渡しを受ける権利を取得したい)」と意欲することである。法律上の効果、すなわち、具体的な権利・義務の発生を意欲する意思であるから、人と会う約束のような単なる道義上の約束や、いわゆる紳士協定などには、この効果意思があるとは言えない。

効果意思は、さらにこれを厳密に考えると、表意者(意思表示をする者)の内心にある効果意思である内心的効果意思と、表示行為から推断される効果意思である表示上の効果意思とに区別することができる。

(2) 表示行為

表示行為は、内心の効果意思を外部に表示する行為である。たとえば、「その土地を買いたい」と表明する行為がこれにあたる。表示行為は、原則としてその形式を問わず、口頭でしても書面でしてもよい。ただし、遺言などの要式行為の場合には一定の方式が要求される。また、表示行為には外形的に明確なものとそうでないものとがあり、前者を明示の意思表示、後者を黙示の意思表示と呼ぶことがある。

【図】意思表示の構造
【図】意思表示の構造

〔考察〕表示意思の要否

表示意思は、効果意思を表示しようとする意思である。意思表示の要素として表示意思は必要か。通常、効果意思と表示行為が一致すれば意思表示の効力が生じると考えられており、意思表示の効力において表示意思が問題となることはない。この意味で意思表示に表示意思は必要ないとするのが通説である。

3 意思表示における動機の位置づけ

動機は、効果意思を形成するにいたった心理的な原因である。伝統的な意思表示理論によると、動機は意思表示の要素に含まれない。たしかに、動機は人により千差万別であって外部からはわかりにくいものであるから、これを意思表示の効力において考慮すると取引の安全を害することになる。しかし、動機をまったく無視して考えるのも適当ではなく、例外的に意思表示の効力に影響する場合もあることが認められている。そのような場合として、動機の錯誤と呼ばれる問題がある。

関連事項

▼ 意思表示の瑕疵と効力

1 意思の不存在と瑕疵ある意思表示

意思表示になんらかの瑕疵かし(きず・欠陥)があるために、意思表示の効力が否定されることがある。その瑕疵は、大きく二つに分けられる。一つは、表示行為に対応する効果意思(内心的効果意思)が存在しない場合であり、これを意思の不存在(意思の欠缺けんけつ)と言う(101条1項参照)。もう一つは、表示行為と効果意思との間に不一致はないが、効果意思の形成過程(動機)に瑕疵がある場合であり、これを瑕疵ある意思表示と言う(120条2項参照)。

民法は、意思の不存在として、心裡留保(93条)・虚偽表示(94条)・錯誤(95条)の三つの場合について規定している。そして、瑕疵ある意思表示の場合として、詐欺または強迫による意思表示について規定している(96条)。

2 意思主義と表示主義

意思表示になんらかの瑕疵が存在する場合に、意思表示の効力をどのように考えるべきか。この点に関する基本的な考え方として、意思主義と表示主義という二つの異なった立場がある。

意思主義は、内心の意思を重視して、意思と表示の不一致(意思の不存在)の場合に意思表示を無効とする立場である。これに対して、表示主義は、表示行為を重視して、意思と表示の不一致の場合に意思表示を有効とする立場である。意思自治の原則および表意者の保護という観点からは意思主義に立つのが好ましいが、他方、取引の安全に配慮するならば表示主義に立つべきであると考えることもできる。そこで民法は、意思主義の立場から意思と表示の不一致の場合に原則として意思表示を無効としながらも、一定の場合には意思主義を制限して例外的に有効としている。

▼ 問題演習

国家試験過去問題のなかから理解度チェックに役立つ良問を掲載しています。

 正誤問題

(司法平18-1-1 → 平成18年司法試験民事系第1問選択肢1)

(掲載予定)

 正解

(掲載予定)

▼ コメント

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コメント: 1
  • #1

    匿名 (金曜日, 18 11月 2016 13:54)

    法律行為は意思表示を必須とする構成要素とする法律要件ということですね

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