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取得時効の要件・効果

このページの最終更新日 2016年8月16日

▼ 取得時効の要件

取得時効の要件は、所有権の取得時効の場合には、一定期間、所有の意思をもって平穏かつ公然に他人の物を占有することであり(162条)、所有権以外の財産権の取得時効の場合には、一定期間、自己のためにする意思をもって平穏かつ公然にその権利を行使することである(163条)。ここでは、所有権の取得時効の要件について説明する。

民法162条の要件を分析すると、次のとおりである。

 所有の意思のある占有であること

 平穏かつ公然の占有であること

 他人の物の占有であること

 一定期間(20年間または10年間)占有が継続すること

④’ (10年の取得時効の場合には、さらに、)占有の開始時に、善意かつ無過失であること

(1) 長期取得時効と短期取得時効

所有権の取得時効と所有権以外の財産権の取得時効のいずれにも、要件の違いに応じて、20年の取得時効(長期取得時効)10年の取得時効(短期取得時効)の二つの種類がある。取得時効の完成に必要な期間(時効期間)は、占有者が占有開始の時点で善意無過失であった場合には10年であり、そうでない場合には20年を要する(162条)。

(2) 取得時効と登記

一般に登記は、不動産物権変動の成立要件ではなく、対抗要件である(177条)。このことは、不動産所有権の取得時効に関してもあてはまる。つまり、時効の当事者間では登記がなくても時効による不動産所有権の取得を主張することができるが、第三者が関係する場合においては、登記がなければ所有権の時効取得を第三者に対して主張することはできない。

「取得時効と登記」と呼ばれる問題であり、主に物権法の分野で論じられる。

以下、民法162条の各要件について検討する。

関連事項

▼ 要件① ― 所有の意思のある占有

1 所有の意思

占有とは、物に対する事実的支配を言う。占有はさまざまな観点から分類されるが、その一つに「所有の意思」の有無による分類がある。

(1) 自主占有と他主占有の区別

たとえば、売買契約における買主が目的物を占有するのは、その物の所有者として占有するのであり、「所有の意思」があると言える。このように、所有の意思をもってする占有を自主占有と呼ぶ。

これに対して、たとえば、不動産の賃借人がその不動産を占有するのは、その所有者として占有するのではなく、他人が所有する物であることを前提としている。このように、所有の意思をともなわない占有を他主占有と呼ぶ。

所有権の取得時効は、占有者が所有の意思をもって目的物を占有している場合、すなわち自主占有である場合にだけ成立する。他主占有は、所有権が他人にあることを前提とする占有であるから、地上権や賃借権などの取得時効は成立しうるが、所有権の取得時効は成立しない。

(2) 所有の意思の判定

所有の意思の有無、すなわち自主占有であるか他主占有であるかは、占有取得の原因(これを権原と呼ぶ)によって外形的・客観的に定められる(最判昭45.6.18)。所有の「意思」とは言うが、占有者の内心の意思がどうであったかは考慮されない。

たとえば、売買によって目的物を受け取った買主の占有は、権原の客観的性質から判断して所有の意思がある占有、つまり自主占有であると言える。これに対して、他人の物の賃借人による占有は、権原の性質上、所有の意思がない占有、つまり他主占有である。

所有の意思を根拠付ける権原は、正当であるか否かを問わない。無効な売買契約によって目的物を受け取った買主や他人の物を盗んだ者の占有であっても、所有の意思があるものと認められる。(もっとも、盗取による占有は公然の占有とは言えない。)

たとえば農地の所有権移転における許可のように、所有権移転に法定の条件が必要とされている場合において、その条件を欠くために所有権が移転しないときであっても自主占有であると認められるか。判例は、農地法上の許可を得ない事案において自主占有を肯定している(最判平13.10.26)。

(3) 所有の意思の推定

民法186条1項によると、所有の意思は推定される。したがって、占有者の占有が他主占有であることを主張する者が所有の意思がないことの証明責任を負う。

所有の意思の推定を破るためには、占有者の占有取得が所有の意思がないとされる権原にもとづくものであることを証明するか、または、占有者が所有者であれば通常はとらない態度を示したり、所有者であれば当然とるべき行動に出なかったりするなど、「外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったものと解される事情」(これを他主占有事情と呼ぶ)を証明しなけばならない(最判昭58.3.24)。

他主占有事情の存否は、諸般の事情を総合的に考慮して判断される。占有者が所有権移転登記手続きを求めず、また、固定資産税を負担しなかったからといって、他主占有事情の存在が認められるとはかぎらない(前掲最判昭58.3.24、最判平7.12.15)。

〔参考〕暫定真実

民法186条1項は、「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有するものと推定する」と規定している。この規定は、およそ占有の事実があるときは自主・善意・平穏・公然の占有であることが推定され、したがって、占有が他主、悪意、強暴または隠秘であることを主張するものがその証明責任を負うことを意味する。

このように、ある法律効果の要件事実とされていながら法律上その事実の存在が推定されており、その事実の不存在を主張する側がその証明責任を負うような場合を暫定真実と呼ぶ。

なお、無過失は推定されない(大判大8.10.13)。

2 他主占有から自主占有への転換

所有権の取得時効が成立するためには自主占有でなければならず、他主占有のままではいつまで経っても所有権を時効取得することはできない。

民法185条は、占有の性質が他主占有から自主占有に変更する場合として、①占有者が自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示する場合と、②新たな権原によってさらに所有の意思をもって占有を始める場合の二つを定める。

(1) 所有の意思の表示

所有の意思は自己に占有をさせた者に対して表示しなければならず、単に目的物を自己の所有物として処分したりするだけでは不十分である。権利者の知らない間に取得時効が完成することを防ぐためである。

判例は、地代支払いの拒絶を所有の意思の表示として認める(最判平6.9.13)。

(2) 新たな権原の発生

新たな権原」(新権原)とは、典型的には、売買のような所有権移転を目的とする法律行為がこれにあたる。たとえば、土地の賃借人が所有者からその代理人を介して目的土地を買い取ったが、代理人に取引をする権限がなかったという場合、賃借人の占有の性質は、売買契約という新権原の発生によって他主占有から自主占有へと転換する(最判昭51.12.2)。

新権原に関して主に議論されているのは、相続が新権原になるかという問題である。

Aは、不動産の所有者Yからその管理を委託されていた。その後、Aが死亡してその相続人Xが被相続人Aの占有を相続により承継した。そのまま取得時効期間が経過したとき、XはYに対して不動産所有権の時効取得を主張することができるか。

この問題に関して判例は、相続人が、被相続人の死亡により、同人の占有を相続により承継しただけでなく、①新たに当該不動産を事実上支配することによって占有を開始したと言える場合であって、②その占有が所有の意思にもとづくものであるときは、相続人は新権限による相続人独自の占有にもとづいて取得時効の成立を主張することができるとする(最判昭46.11.30、最判平8.11.12)。

前述したように、占有者は所有の意思をもって占有するものと推定される(186条1項)。しかし、他主占有者の相続人が取得時効の成立を主張する場合においてはそのような推定は働かず、相続人の占有が所有の意思にもとづくものであると言い得るためには、取得時効の成立を争う相手方ではなく、占有者である相続人自らが、「その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情」を証明しなければならない(前掲最判平8.11.12)。

〔参考〕相続人が複数いる場合

相続人が複数人いる場合、各相続人はその相続分に応じて相続財産を共有する(898条)。共有者の1人が単独で占有するときは他の共有者の持分については他主占有であると解されるから(判例)、共同相続人の1人が単独で相続財産を占有したとしても、その者は単独所有権を時効取得することができないのが原則である。

しかし、判例は、共同相続人の1人が単独に相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに相続財産を現実に占有し、単独所有者として行動しており、これについて他の相続人が異議を述べなかったという場合には、相続人はその相続の時から自主占有を取得すると解する(最判昭47.9.8)。

▼ 要件② ― 平穏かつ公然の占有

社会秩序をかく乱するような占有は、法的保護を受けるに適さない。そのため、取得時効が成立するためには、時効完成に必要な期間中、「平穏に、かつ、公然と」占有が継続することが必要である。「平穏」とは占有が強迫や暴行(あわせて強暴と言う)によるものでないことであり、「公然」とは隠秘でないことである。いずれも推定される(186条1項)。

平穏かつ公然の要件は、占有の取得時だけでなく、占有の継続中もこれを維持しなければならない。

▼ 要件③ ―「他人の物」の占有

1 自己の物の時効取得

民法162条は、取得時効の対象を「他人の物」と規定している。これは、取得時効の効果は占有物に対する権利を取得することであるが、通常の場合には、自己の所有する物について時効による権利取得を認めることが無意味だからである。

しかし、所有権にもとづいて物を占有する場合であっても、時の経過にともなう証拠散逸によって所有権取得の証明が困難になることがある。また、不動産の売買による所有権取得の場合において買主が登記を経由していないときには、占有が買主にあっても、その買主は所有権取得を第三者に対抗することができない。権利の証明困難の救済あるいは永続した事実状態の尊重という時効制度の趣旨に照らして考えると、そういった場合に、自己の物であることを理由に取得時効の援用を許さないとするのは適当でない。

それゆえ、民法162条の法文にもかわらず、自己の物の占有についても同条の適用があると解されている(最判昭42.7.21)。

自己の物の時効取得が問題となった例として、未登記不動産の取得時効の援用がある。

(1) 対抗関係に立つ者との間における取得時効の主張

Yは、兄Aから不動産を贈与されて居住(占有)していたが、所有権移転登記を経由していなかった。その後、当該不動産上に設定された抵当権が実行され、Xが競落して登記を経由した。Xは、Yに対して当該不動産の明渡しを請求した。Yは、X登記後に完成した取得時効を援用してXの請求を拒むことができるか。

不動産の二重譲渡における第一譲受人Yと第二譲受人Xとの間の所有権をめぐる優劣の問題である。このような場合、民法177条によって先に登記を経由した者が優先するのが原則である。

しかし、判例は、所有権にもとづいて不動産を占有する者についても民法162条の適用があるとして、不動産を占有している第一譲受人Yが登記を備えた第二譲受人Xに対して時効による所有権取得を主張することを認めている(前掲最判昭42.7.21)。

〔参考〕不動産の二重売買における第一買主の取得時効の起算点

判例は、不動産が二重に売却されて第一買主が不動産の占有を取得し、第二買主が所有権移転登記を受けた場合において、第一買主の当該不動産に対する取得時効の起算点は、第二買主が所有権移転登記を受けた時ではなく、第一買主が当該不動産の占有を取得した時であるとする(最判昭46.11.5)。

この結論自体は、自己物の時効取得を認める考え方と適合するものであるが、その理由として、登記の時に第二買主が完全に所有権を取得することによって第一買主は当初から全く所有権を取得しなかったことになるからであると説く。つまり、この場合に認められる取得時効の対象が他人の物であることを前提としている。

(2) 契約当事者間での取得時効の主張

不動産の所有者AがXにその不動産を売却してXは占有を開始したが、代金の一部を払わず移転登記をすませていなかった。その後、A死亡によってYがその地位を相続したが、Xは当該不動産を占有し続けた。Xは、Yに対して取得時効の完成を主張して登記の移転を請求することができるか。

このような契約当事者間での取得時効の主張は、売主側が契約の解除等を主張してきた場合に買主側がそれに対する抗弁として提出するのがふつうである。

判例は、不動産の買主Xは、売主Yに対する関係でも、時効による所有権の取得を主張することができるとする(最判昭44.12.18)。しかし、この考え方に対しては、売買契約当事者間での取得時効の主張を認めてしまうと、売主の同時履行の抗弁権(533条)が機能せず、契約当事者間の公平を害するという批判もある。

2 物の一部の時効取得

物の一部についても取得時効が成立する(大連判大13.10.7―一筆の土地の一部、最判昭38.12.13―他人の土地に無権限に植栽した立木)。

3 公物の時効取得

道路や公園のように、公の目的に供用される物を公物と言う。公物は、公用廃止行為によって公物でなくなったときに取得時効の対象となることに問題はない。問題は、公物のままでも取得時効の対象となるかどうかである。

判例は、公物について黙示の公用廃止があった場合に取得時効の成立を認める(最判昭51.12.24)。

〔参考〕最判昭51.12.24

「公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなつた場合には、右公共用財産については、黙示的に公用が廃止されたものとして、これについて取得時効の成立を妨げない」

▼ 要件④ ― 一定期間の占有の継続

1 占有の継続

取得時効が成立するためには、占有が一定期間継続することが要件となる。

(1) 占有継続の推定

取得時効が成立するためには、一定期間、占有が途切れずに継続されなければならない。

二つの異なる時点のそれぞれにおいて占有をした事実の証明が可能であるときは、占有はその両時点の間において継続していたものと推定される(186条2項)。したがって、取得時効の要件である占有継続があったと認められるためには、起算点における占有の事実と20年または10年経過以後の時点における占有の事実とを証明することで足りる。

(2) 自然中断

取得時効が完成する前に、①占有者が任意にその占有を中止したり、または、②他人にその占有を奪われたりしたときは、取得時効は中断する(164条)。これを自然中断と呼ぶ。

もっとも、他人の侵奪行為によって占有を喪失した場合であっても、占有回収の訴えによって占有を回復したときには、占有は継続していたものとみなされる(203条ただし書)。

(3) 占有継続の期間と起算点

取得時効完成に要する占有継続の期間(取得時効期間)は、①通常の場合は20年(162条1項)、②占有の開始の時に善意無過失である場合は10年である(同条2項)。

時効完成の時期は、起算点をいつの時点に定めるかによって決定される。占有状態が時効完成に要する期間を超えて継続した場合には、法定期間の占有継続の要件を満たすかぎり、占有状態の最初(占有の開始時)よりも後に起算点をとることも可能であるように、一見思われる。

しかし、判例は、取得時効の起算点を占有を開始した時に確定し、取得時効を援用する者が任意に起算点を選択して時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできないとする(最判昭35.7.27)。なぜならば、対抗関係に立つ者との間における権利取得の優劣は時効完成と登記の先後関係によって決まるので、時効完成の時期を絶対的に確定する必要があるからである。

2 占有の承継

占有は、承継することができる。占有の承継人は、自己の占有のみを主張するか、または、自己の占有に前の占有者の占有をあわせて主張するかを自由に選択することができる(187条1項)。

この場合の承継には、売買による譲渡のような特定承継だけでなく、相続のような包括承継をも含む(最判昭37.5.18)。

AからBに不動産が売却されてBが3年間占有した後、BからCに当該不動産が譲渡された。Cが当該不動産を8年間継続して占有した時点でAB間の売買契約が無効とされた場合、Cは当該不動産の時効取得を主張することができるか。

設例のCは、自己の占有期間8年間に前主Bの占有期間3年間を合算して、合計11年間の占有継続を主張することができる。

(1) 瑕疵の承継

もっとも、前の占有者の占有をあわせて主張する場合には、その瑕疵をも承継する(同条2項)こととされているから、Bがその占有開始の時点で悪意または有過失であった場合には、たとえCがその占有開始の時点で善意無過失であったとしても、Cは10年の取得時効を援用することができない。合算した占有期間は11年しかなく、20年の取得時効も完成していないから、結局、Cは不動産の時効取得を主張することができないことになる。

(2) 善意無過失の判断時点

逆に、Bがその占有開始の時点で善意無過失であったが、Cがその占有開始の時点で悪意または有過失であった場合はどうか。後述するように、占有主体に変更がない場合には、10年の取得時効の成立のためには占有の開始時に善意無過失であればよく、占有継続の途中に悪意に変じても時効の成立に影響しない。

それでは、設例のように占有承継人が占有主体の異なる占有をあわせてその全体としての占有期間を主張する場合にも、最初の占有者について占有開始の時点において善意無過失であると判断することができれば、占有の承継人が悪意または有過失であっても、10年の取得時効が成立すると解してよいか。判例は、そのように解する(最判昭53.3.6)。

これを設例にあてはめると、最初のBの占有開始時にBが善意無過失であれば、次のCの占有開始時にCが悪意または有過失であっても、Cは10年の取得時効を援用することができることになる。

もっとも、このような考え方に対しては、悪意または有過失の占有者に10年の取得時効の援用を許すことは適当でないとして、占有承継人についてもその占有開始の時に善意無過失であることを要すると主張する見解もある。

▼ 要件④’ ― 占有開始時における善意無過失

10年の取得時効(短期取得時効)が成立するためには、占有者が占有開始時において善意・無過失であることを要する(162条2項)。

善意とは、占有者が目的物について自己に所有権がないことを知らないこと、つまり、自己に所有権があると信じたことであり、無過失とは自己に所有権があると信じたことについて過失がないことである(最判昭43.12.24)。

民法186条1項によって占有者が善意であることは推定されるが、無過失であることは推定されないと解されている(大判大8.10.13)。したがって、取得時効を主張する者は、自らが無過失であることを証明しなければならない。

なお、占有者は占有の開始の時に善意・無過失であればよく、占有継続の途中で悪意に変わっても10年の取得時効の成立を妨げない(大判明44.4.7)。

▼ 取得時効の効果

取得時効の完成によって、占有者は占有物の所有権その他の財産権を取得する(162条・163条)。

(1) 原始取得

取得時効の完成による権利取得は、原始取得であると解されている。したがって、たとえば抵当権の設定された不動産について所有権の取得時効が完成すると、占有者は抵当権の負担のない完全な所有権を取得し、その反面、従前の所有権およびその上の抵当権は消滅する(397条参照)。

もっとも、占有者はつねに時効によって負担のない所有権を取得することができるわけではない。たとえば、承役地を時効取得することによってその上の地役権は消滅するのが通常である(289条)。しかし、承役地の占有者が地役権の負担を容認して占有していた場合は、時効取得する所有権も地役権の負担をともなう(地役権は消滅しない)と解されている(大判大9.7.16)。

(2) 遡及効

時効の効果は、その起算日にまでさかのぼって発生する(144条)。これを時効の遡及効と言う。取得時効の起算点は占有を開始した時であるから、その時にまでさかのぼって権利を原始取得する。

遡及効が認められる結果、次のような効果が生じる。

 時効期間中に生じた果実は、元物を時効取得した者に帰属する。

 時効期間中に時効による権利取得者がした目的物の処分行為(例、賃貸借)は有効になる。(反対に、時効により権利を喪失した者がした処分行為は無効になる。)

 時効期間中の権利侵害によって発生した損害賠償請求権(709条)は、時効による権利取得者に帰属する。

関連事項

問題演習(国家試験過去問題)

国家試験過去問題のなかから理解度チェックに役立つ良問を掲載しています。

 1.多肢選択問題

 甲土地の所有権を主張するAに対し、pという時点から長い期間にわたり同土地を占有してきたBが、訴訟において20年の時効による所有権の取得を主張する場合、時効の援用の意思表示のほかに、次のアからカまでの事実のうち、民法の規定及び判例を考慮してBが主張立証しなければならないものをすべて組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。

ア.p時点においてBが甲土地を占有していたこと。

イ.p時点から20年後のq時点においてBが甲土地を占有していたこと。

ウ.p時点から、その20年後のq時点まで、Bが甲土地を継続して占有したこと。

エ.p時点における甲土地の所有者がAであったこと。

オ.p時点におけるBの占有が自主占有であったこと。

カ.p時点におけるBの占有が平穏かつ公然のものであったこと。

1.アイ 2.アイエ 3.ウオカ 4.アイオカ 5.ウエオカ

(平成18年司法試験短答式民事系第17問)

 2.正誤問題

(司法平18-1-1 → 平成18年司法試験民事系第1問選択肢1)

(1) 10年の取得時効を援用して所有権の取得を主張する者は、占有を開始した時及びその時から10年を経過した時の2つの時点の占有を主張・立証すれば足り、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と物を占有したこと、占有の開始時に善意無過失であったことについて主張・立証する必要はない。(司法平26-5-ア)

(2) 外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかったと解される事情を証明すれば、所有の意思を否定することができる。(司法平26-5-ウ)

(3) 他人の物を占有することが取得時効の要件であるので、所有権に基づいて不動産を占有していた場合には、取得時効は成立しない。(司法平19-5-1)

(4) 取得時効が成立するためには、占有が時効期間中継続していることが必要であり、侵奪行為によって目的物の占有が失われた場合には、その後、占有回収の訴えによってその占有を回復しても、取得時効は中断する。(司法平19-5-2)

(5) 取得時効を主張する時効援用権者は、占有を開始した以後の任意の時点を時効の起算点として選択することができる。(司法平20-7-ウ)

(6) 判例によれば、Aが所有する不動産を7年間継続して占有したBから、この不動産を買い受けて引渡しを受けたCが更に4年間継続して占有する場合において、Cが、10年間の占有を継続したことを理由として、この不動産の所有権を時効により取得するためには、Bが占有を開始した時に善意であれば、Cの占有開始時にCが善意である必要はない。(司法平24-8-4)

(7) Aが所有する不動産をBが占有する場合において、Bが、10年間の占有を継続したことを理由として、この不動産の所有権を時効により取得するためには、Bは、占有を開始した時に善意無過失であればよく、その後にBが悪意になっても、Bの時効取得の成否に影響しない。(司法平24-8-2)

 正解

1. 1

2. (1) 誤  (2) 正  (3) 誤  (4) 誤  (5) 誤  (6) 正  (7) 正

民法総則のカテゴリー

法人法律行為意思表示代理無効と取消し条件と期限期間時効

コメント

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コメント: 1
  • #1

    ももちゃん (火曜日, 10 5月 2016 11:57)

    行政書士を勉強中です。たまたま見つけて解いたら全問正解でした。ちょっと自信がつきました。

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