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時効の停止

このページの最終更新日 2016年10月6日

▼ 時効の停止とは

時効の停止とは、時効完成の間際になって権利者が時効の中断をすることが困難な事情がある場合に、一定の期間、時効の完成を猶予することを言う。

たとえば、時効完成の直前に地震によって裁判所の業務が休止した場合、本来の時効完成時点では時効は完成しない。時効の完成は、裁判業務が復旧した後、2週間が経過した時点まで延長される(161条)。

時効の中断が時効の進行をふりだしに戻すものであるのに対して、時効の停止は停止事由の終了後、一定期間(停止期間)が経過するまで時効の完成を猶予するものにすぎない。時効の停止だけではそれまでに経過していた時効期間は無意味とはならず、停止期間が経過するまでに中断がなされなければ、時効は完成する。

時効の停止による時効期間の延長
【図】時効の停止

〔考察〕時効の「停止」の意味

日本の民法が定める時効の停止の制度は、本文に述べたように、停止事由の終了後、法定の期間が経過するまで時効の完成を猶予するものであるにすぎない。停止事由の発生によって時効の進行が停止し、停止事由の終了によって停止した時点から進行が再開するというものではない。したがって、停止事由にあたる事実が発生しても、その時期によっては時効の停止の効果が生じないことがある。

たとえば、夫婦間の権利については、婚姻の解消の時から6か月を経過するまでの間は時効は完成しないと定められている(159条)。もし婚姻解消の時点が時効完成の時点よりも6か月以上前であるならば、時効完成の時点が到来する前に6か月が経過してしまうので、時効の停止の効果は生じない。

このように、日本民法における時効の停止の制度を理解するには、停止事由が存続している間および停止期間中も時効は進行していると解するのが合理的である。民法の時効の「停止」という表現は、正確には時効期間の延長を意味するものと解すべきである。

関連事項

▼ 停止事由と停止期間

時効の停止は、時効中断の措置をとることが困難となるような障害が存在するときに認められる。時効の停止事由とその停止期間は、民法158条から161条までに規定されている。

(1) 法定代理人のいない未成年者または成年被後見人に対する時効(158条1項)

時効期間の満了前6か月以内の時点で未成年者または成年被後見人に法定代理人がいない場合、未成年者・成年被後見人が行為能力者となった時または法定代理人が就任した時から6か月(停止期間)を経過するまでの間は、未成年者・成年被後見人に対して時効は完成しない。未成年者および成年被後見人は、単独で時効中断措置をとることができないからである。

本規定によって停止される時効は未成年者や成年被後見人に不利益となる時効(消滅時効・取得時効)にかぎられ、これらの者に利益となる時効を含まない。

(2) 未成年者または成年被後見人が法定代理人に対して有する権利についての時効(158条2項)

未成年者または成年被後見人がその財産を管理する法定代理人に対して権利を有する場合、未成年子・成年被後見人が行為能力者となった時または後任の法定代理人が就職した時から6か月(停止期間)を経過するまでの間は、その権利について時効(消滅時効)は完成しない。法定代理人が自己に不利益となる時効中断措置をとることを期待することができないからである。

(3) 夫婦間の権利についての時効(159条)

夫婦の一方が他方に対して有する権利については、婚姻の解消の時から6か月(停止期間)を経過するまでの間は、時効は完成しない。夫婦間で中断行為をすることを期待することができないからである。

本条の「婚姻の解消」には、配偶者の死亡や離婚のほか、婚姻の取消しも含まれる。

(4) 相続財産に関する権利についての時効(160条)

相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時または破産手続開始の決定があった時から6か月(停止期間)を経過するまでの間は、時効は完成しない。

相続財産を管理する者がいなければ、相続財産に属する権利について時効中断措置をとることができず、また、相続財産に対して権利を有する者も中断行為の相手方がいないからである。

したがって、本条の時効には、相続財産に属する権利についての時効(相続財産に不利益となる時効)だけでなく、他人が相続財産に対して有する権利についての時効(相続財産に利益となる時効)も含まれる。

(5) 天災等による時効の停止(161条)

「時効の期間の満了の時に当たり」、天災その他「避けることのできない事変」のために時効を中断することができない場合、その障害が消滅した時から2週間(停止期間)を経過するまでの間は、時効は完成しない。

「避けることのできない事変」とは、豪雪、洪水、戦乱などによる交通閉塞や裁判事務の休止を指し、当事者の疾病や不在などは含まれない。

「時効の期間の満了の時に当たり」の要件は緩やかに解されており、厳格に時効期間の満了時でなくても2週間の猶予を与えるべき場合であれば、本条を適用してよいと考えられている。

関連事項

問題演習(国家試験過去問題)

国家試験過去問題のなかから理解度チェックに役立つ良問を掲載しています。

 正誤問題

(司法平18-1-1 → 平成18年司法試験民事系第1問選択肢1)

(掲載予定)

 正解

(掲載予定)

民法総則のカテゴリー

法人法律行為意思表示代理無効と取消し条件と期限期間時効

コメント

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コメント: 1
  • #1

    アッシュ (火曜日, 02 8月 2016 08:13)

    時効停止が分かりました。

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