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期間の計算方法

このページの最終更新日 2016年10月8日

▼ 期間とは

期間とは、ある時点から他の時点にいたるまでの限定された時間を言う。期間は区分することができる点で、一定の時点を意味して区分することができない期日と異なる。成年や失踪、時効、父性推定など、法律上の効果が期間の経過にかからしめられている場合は多い。

期間は、法令の規定のほか、裁判所の命令や法律行為によって定められる。たとえば賃貸借契約を締結する際に使用期間を2年間と定めるのは、当事者が法律行為によって期間を定める一例である。

民法は、第1編第6章「期間の計算」において、期間計算法の通則を定めている(138条~143条)。民法の期間の計算方法に関する規定は、他の法律にも適用される(民事訴訟法95条1項参照)。私法的な法律関係についてだけでなく、公法的関係にも適用がある(大判昭5.5.24―衆議院解散による総選挙の期日について民法140条(初日不算入)が適用されるとした)。

もっとも、民法の定める期間の計算方法は立法者や当事者の意思を推測して定められた一般的・補充的な準則であるから、特別の規定(年齢計算ニ関スル法律、戸籍法43条、刑法23条・24条、刑事訴訟法55条、国会法14条など)や特約によって異なる計算方法が定められている場合にはその方法が適用される(138条参照)。

〔参考〕補足説明

期間を定める方法には、一定の日時を満期として指定する方法(例、明日正午、来月10日)と、時の区分(年・月・日など)数によって限定する方法(例、2か月間、3年間、5日間)の二つがある。期間の計算方法を定める必要があるのは後者の方法による場合である。

また、ここでいう「期間の計算」とは、開始時点と終了時点からその間の時間の長さを算出するという意味ではなく、開始時点から所定の時間が経過したときの終了時点を具体的に導き出すことを意味している。

▼ 二種類の計算方法

時間は、ふつう年・月・週・日・時などの単位によって区分される。期間を定めるときも、通常はこれらの単位を用いる。

また、期間の計算方法には、次のように2つの種類がある。

(1) 自然的計算法

一つは、1日を24時間というように細かく区分して精密に計算する方法である。ある事実が発生した即時から起算し、所定の期間を時間単位に区分して何時間と算定し、その日数分の時間を満たすまで計算する。このような期間の計算方法を自然的計算法と呼ぶ。

たとえば、「3月1日午前10時から2日間」というときは、48時間後の同月3日午前10時が満了点となる。また、「4月2日午前11時から1週間」というときは、1週を7日に区分して計算し、同月9日午前11時が満了点となる。

(2) 暦法的計算法

もう一つは、暦にしたがって計算する方法である。この方法は日を最小の単位とし、日未満の単位の時間を精密に計算することはしない。1日に満たない端数時間はこれを1日とし、あるいは算入しない。

また、週・月・年を単位とする期間の場合には、日数に換算せずに週・月・年の数によって計算する。そのため、月・年単位の期間のときは、期間に含まれる日数が月の大小や年の平閏によって変化しうる。

このような期間の計算方法を暦法的計算法と呼ぶ。

(3) 民法の定める期間の計算方法

民法は、時間(分・秒を含む)を単位として期間を定めた場合(短期間)にかぎり自然的計算法によることとし(139条参照)、日以上の単位によって期間を定めた場合(長期間)には暦法的計算法によることとしている(140条~143条)。

自然的計算法は、精確であるが煩わしく不便であるため、日よりも短い時間をもって期間を定めた場合以外には向いていない。これに対して、暦法的計算法は、粗略な計算方法ではあるが実際の便宜を理由に一般的な計算方法として採用されている。

なお、民法139条は一見自明のことを定めたようにもみえるが、その趣旨は時間を単位とする期間については自然的計算法を用いることを明らかにすることにある。

▼ 長期間の計算方法

1 起算点―初日不算入の原則

日・週・月・年を単位として期間を定めたときは、原則として、期間の初日を算入せずに翌日から起算する(140条本文)。つまり、期間計算開始の契機となる事実が発生した当日(初日)を計算に入れず、その翌日を計算上最初の1日(起算日)とする。これを初日不算入の原則と言う。(例①)

【例①】「権利が発生した時から何年間」というときは、権利が発生した日(初日)ではなくて、その翌日が起算日となる。

初日不算入の原則は、1日に満たない端数としての初日を計算上切り捨てることを意味する。1日に満たない端数を計算するのは煩わしく不便であり、また、期間が開始した時刻を正確に証明することは困難である。そのため、初日は全部算入するかしないかの一択であるが、期間の経過は当事者の不利益となる場合が多いので、期間が満了が遅くなる不算入のほうを採用している。

したがって、期間が午前零時から始まるときは、初日が丸1日あるので、例外的に初日から起算する(同条ただし書)(例②)。例①で権利が発生した時が午前零時であるときは、権利発生日から起算することになる。

【例②】「翌月10日から何日間」というときは、初日である10日を第1日として数える。

〔参考〕最判昭57.10.19

民法724条所定の3年の時効期間の計算についても140条の適用があるから、損害および加害者を知った時が午前零時でないかぎり、時効期間の初日は算入されない。

民法以外の法律によって初日不算入の原則に対する例外が定められていることがある。その一例として、年齢計算ニ関スル法律1項がある。同規定は、年齢は出生の日から起算すると定めている。(例③)

【例③】4月1日に生まれた子は、(翌日の2日ではなく)1日を起算日として年齢を計算するので、翌年3月31日(誕生日の前日)の終了をもって満1歳となる。

〔参考〕4月1日生まれの子の入学時期はいつか

保護者は、子が満6歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから子を小学校に就学させる義務を負う(学校教育法17条1項)。そして、小学校の学年は4月1日に始まる(同法施行規則59条)。つまり、満6歳に達した日の翌日から最初の4月1日が到来するときに小学校1年生となる。

本文例③のように、4月1日生まれの子は誕生日前日の3月31日(の終了時)に満6歳になるのであるから、満6歳に達した日(3月31日)のすぐ翌日が最初に到来する4月1日になる。したがって、4月1日生まれの子は満6歳になった年に始まる学年に入学することになる(いわゆる「早生まれ」に含まれる)。

これに対して、4月2日に生まれた子は、4月1日に満6歳になるから、満6歳に達した日の翌日(4月2日)以後における最初の学年の初めである翌年の4月1日に小学校1年生となる(いわゆる「遅生まれ」の扱い)。

2 満了点

期間は、その末日の終了をもって満了する(141条)。つまり、期間の満了点は、その末日の午後12時である。民法が起算点に関して初日不算入の原則を採用したことの当然の帰結である。

もっとも、商法520条は「法令又は慣習により商人の取引時間の定めがあるときは、その取引時間内に限り、債務の履行をし、又はその履行の請求をすることができる」と定めており、同条が適用される場面においては、末日の取引時間の経過によって事実上期間が満了する。

期間の末日(満了日)は、次のようにして定まる。

(1) 日を単位とする期間の場合

を単位とする期間は、起算日から所定の日数を数えて最後の日に満了する。(例④)

【例④】「2016年2月20日から10日間」というときは、2月20日を起算日(1日目)として10日を数え、10日目にあたる同月29日が満了日となる。(閏年の2016年ではなく平年であれば3月1日が満了日となる。)

(2) 月・年を単位とする期間の場合

またはを単位として期間を定めたときは、月・年を日数に換算せずにそのまま数える(143条1項参照)。その際、月の大小や年の平閏は無視して、すべての月や年を均一なものとして扱う。(例⑤・例⑤´)

【例⑤】「2月1日から3か月間」というときは、年の平閏や月の大小にかかわらず、2月を最初の月として月数を数え、3月目の4月の末日が満了日になる。

【例⑤´】「2017年1月1日から5年間」というときは、平年か閏年かにかかわらず、2017年を最初の年として年数を数え、5年目の2021年の末日が満了日になる。

上の例のように、月・年の初めから起算するときは、単純にその月・年を第1の月・年として所定の月数・年数を数え、最後にあたる月・年の末日に期間が満了すると考える。

そうではなく、月・年の途中から計算するときは、月・年に満たない端数の処理が問題となる。この点につき、民法は次のような方法を採ることとした。

すなわち、民法140条による起算日の翌月・翌年から順次月数・年数を数え、最後の月・年においてその起算日に当たる日(応当日)の前日に期間が満了する(143条2項本文)。(例⑥・例⑥´)

【例⑥】「1月15日から5か月間」というときは、翌月から数えて5月目の6月15日が応当日であるから、その前日の同月14日が満了日となる。

【例⑥´】「2017年10月5日から3年間」というときは、翌年から数えて3年目の2020年10月5日が応当日であるから、その前日の同月4日が満了日となる。

ただし、月には大小があり、また、年には平閏があるために、最後の月に応当日がないときがある。そのようなときは、その最後の月の末日に満了する(同項ただし書)(例⑦・例⑦´)。

【例⑦】「1月31日から1か月間」というときは、翌月の2月には応当日(31日)がないから、同月28日(または29日)が満了日となる。

【例⑦´】「2020年2月29日から2年間」というときは、翌年から数えて2年目の2022年2月には応当日(29日)がないから、同月28日が満了日となる。

(3) 週を単位とする期間の場合

を単位とする期間の場合についても、月・年を単位とする期間の場合と同様に暦にしたがって、すなわち日数に換算せずに計算する(143条1項)。(例⑧)

もっとも、週を単位とする場合には、月・年を単位とする場合とは異なり、日数に換算しても計算結果が異ならず、また、応当日が存在しないという問題は生じない(同条2項ただし書参照)。

【例⑧】「5月5日(木曜日)から3週間」というときは、翌週から数えて3週目にあたる5月第4週木曜日(26日)が応当日となるから、その前日の同月25日(水曜日)が満了日となる。

(4) 期間の末日が日曜日、祝日その他の休日に該当するとき

もし期間の末日が休日であったときは、その日に時効を中断することや債務を履行することができないまま、時効が完成したり債務不履行責任が発生したりすることになる。しかしそれでは、末日の終了をもって期間の満了とした趣旨に反することになる。

そのため、民法は、期間の末日が日曜日、祝日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合にかぎり、その翌日に期間が満了することとしている(142条)。(例⑨)

【例⑨】例⑧で1月5日が木曜日ではなく月曜日であったとすると、本来の満了日である2月1日は日曜日に当たるので、その翌日の2日(月曜日)が満了日となる。

法文上「その日に取引をしない慣習がある場合に限り」として例外的に適用があるような形になっているのは、立法当時の日本社会には休日に業務を行わない慣習が確立していなかったためである。「取引」は、商行為にかぎられない。

なお、年末年始の休業期間が休日に含まれるかどうかが問題となるが、民事訴訟法95条3項のように立法的に解決している例もある。

▼ 過去にさかのぼる場合の計算方法

たとえば民法158条は「時効の期間の満了前六箇月」と定めているが、このように過去にさかのぼって期間を計算しなければならない場合もある。過去にさかのぼる場合の期間の計算方法を定めた規定は存在しないが、この場合にも民法の期間の計算方法に関する規定を類推適用すべきであると考えられている。

次の問題を例にして、過去にさかのぼる場合の期間の計算方法について具体的に検討してみる。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律39条1項は、「社員総会を招集するには、理事は、社員総会の日の1週間…前までに、社員に対してその通知を発しなければならない。」と定めている。社員総会の開催日を5月12日(木曜日)に予定している場合、その招集通知をいつまでに発出する必要があるか。

まず、初日不算入の原則により総会当日(初日)を算入しない。そして、過去にさかのぼるのときには、初日の翌日ではなく、その前日から起算することになる。つまり、総会開催日である5月第2週木曜日(12日)の前日の水曜日(同月11日)が起算日となる。

次に、5月第2週水曜日(11日)から起算して暦にしたがって1週だけ過去にさかのぼる。応当日である5月第1週水曜日(4日)の、前日ではなく、翌日の木曜日(同月5日)が期間の末日(満了日)となる。

そして、時間をさかのぼる場合には、期間の末日の終了時ではなく開始時(午前零時)をもって期間の満了点と考える。以上から、設問における期間の満了点は、5月5日(木曜日)午前零時となる。

社員総会の招集通知は満了点である5月5日午前零時の前までに発出しなければならないから、その期限は5月4日午後12時である。(総会開催日と招集通知の期限との間には、1週間ちょうどある。)

問題演習(国家試験過去問題)

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 正誤問題

(司法平18-1-1 → 平成18年司法試験民事系第1問選択肢1)

(1) 時効期間を計算する際には、その期間が午前零時から始まるときを除き、期間の初日は算入しない。(司法平26-5-イ)

(2) 判例によれば、不法行為による損害の賠償を請求する債権の消滅時効の期間の計算については、被害者が損害及び加害者を知った時が午前零時でない限り、初日は算入しない。(司法平24-6-エ)

 正解

(1) 正  (2) 正

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