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期限付法律行為の効力(期限の利益)

このページの最終更新日 2015年9月30日

【目次】

期限の到来の効果

〔考察:期限到来前の効力(期限付権利)〕

期限の利益とは

期限の利益の放棄

期限の利益の喪失

問題演習

コメント

▼ 期限の到来の効果

期限の利益の効果は、期限の種類によって異なる。

①債務の履行に始期を付けた場合(履行期限)は、期限の到来によって債務の履行を請求することができる(135条1項)。また、②法律行為に終期をつけた場合、期限の到来により法律行為の効力が消滅し(同条2項)、③明文の規定はないが、法律行為の効力に始期を付けた場合は、期限の到来により法律行為の効力が発生する。

期限の効力は、将来に向かってのみ生ずる。特約によって遡及効を定めることも(自己矛盾あるいは無意味であるから)認められない。

〔考察〕期限到来前の効力(期限付権利)

債務の履行に始期が付けられている場合は、すでに債権が発生しているので債権一般の保護を考えれば足りる。これに対し、法律行為の効力の発生または消滅に期限が付けられている場合には、期限の到来に対する期待を保護する規定が存在しない。しかし、期限の到来に対する期待は、条件成就に対する期待(条件付権利)以上の保護を受けるべき(確定的な期待は不確定的な期待より強い保護を受けるべき)であるから、条件に関する128条および129条を類推適用すべきであると解されている。

関連事項

 条件付法律行為の効力 (条件付権利)

▼ 期限の利益とは

期限の利益とは、期限が到来しないことによって当事者が受ける利益のことをいう。たとえば、金銭消費貸借契約における借主(債務者)は、返済期が到来するまでの間は金銭を自由に費消することができるという利益を有する。

法律行為の当事者のいずれが期限の利益を有するかは、場合によって異なる。たとえば、無利息の消費貸借においては借主(債務者)のみ、利息付消費貸借においては貸主(債権者)と借主の双方、無償寄託においては寄託者(債権者)のみが期限の利益を有する。

もっとも、債務の履行に期限がつけられるのは、債務の履行を猶予するためであるのが通常である。そこで民法は、期限は債務者の利益のために定めたものと推定している(136条1項)。

▼ 期限の利益の放棄

期限の利益を有する当事者は、これを放棄することができる(136条2項本文)。したがって、期限の利益が債務者のみにある場合は、債務者はこれを放棄して期限前に弁済することができる。(この場合において債務が利息付きであっても、債務者は弁済の時までの利息を支払えばよく、期限までの利息を支払う必要がない。)

ただし、当事者双方、すなわち、相手方にも期限の利益がある場合には、期限の利益を放棄する者は、放棄によって「相手方の利益を害することはできない」(同項ただし書)。これは、相手方が期限の利益の喪失によって受ける損害を賠償しさえすれば期限の利益を放棄することができる趣旨であると解されている。したがって、たとえば、定期預金(期限が当事者双方の利益のために存在する)における預り主である銀行は、満期までの約定利息を支払う(預金者の損害を填補する)ことによって期限前に元本を返還する(期限の利益を放棄する)ことができる(大判昭9.9.15)。

▼ 期限の利益の喪失

期限が到来するまでの間に、債務者にその信用を失わせるような一定の事実が発生した場合には、債務者は期限の利益を喪失する。その結果、債権者は直ちに債務の履行を請求することができる。

民法は、法律上当然に期限の利益を喪失する場合として、①債務者の破産手続開始の決定、②債務者による担保の滅失、損傷または減少、③債務者の担保供与義務の不履行の三つの事由を定める(137条)。

また、法律行為の当事者の特約によって、一定の事実が生じた場合、当然にまたは債権者の請求によって期限の利益を失う旨を定めることもできる。このような特約を期限の利益喪失約款(期限の利益喪失特約)と呼び、銀行取引約定書におけるそれが代表例である。なお、割賦販売契約における期限の利益喪失約款が一定の事由により当然に期限の利益を喪失するものであるのか、それとも債権者の請求によってはじめて喪失するものであるのかが、消滅時効の起算点という観点から問題となる(割賦販売法5条参照)。

関連事項

 消滅時効の要件・効果 (割賦払債務に期限の利益喪失約款がある場合の起算点)

▼ 問題演習

国家試験過去問題のなかから理解度チェックに役立つ良問を掲載しています。

 正誤問題

(司法平18-1-1 → 平成18年司法試験民事系第1問選択肢1)

(1) 有償の金銭消費寄託契約においては、当事者の双方が期限の利益を有する。(司法平19-4-エ)

(2) 金銭債務の債務者が担保を提供する義務を負う場合において、担保を提供しないときは、債務者は、期限の利益を主張することができない。(司法平22-5-ウ)

 正解

(1) 正  (2) 正

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