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条件付法律行為の効力

このページの最終更新日 2015年9月30日

▼ 条件の成否確定後の効力

条件の成否が確定すると、条件付法律行為の効力が確定する。停止条件付法律行為は、条件が成就した時からその効力を生じ(127条1項)、条件が不成就に確定することにより、確定的に無効となる。解除条件付法律行為は、条件が成就した時からその効力が消滅し(同条2項)、条件が不成就に確定することにより、確定的に有効となる。

まとめると、次の表のようになる。

  条件成就 条件不成就
停止条件 効力発生 無効に確定
解除条件 効力消滅 有効に確定

条件成就の効果は成就の時から生じ、原則として遡及しない。ただし、当事者の意思表示によって条件成就の効果をその成就前にさかのぼらせることが可能である(127条3項)。

▼ 条件の成否未定の間の効力(条件付権利)

● 条件付権利とは―期待の保護

条件の成否が確定しない間、条件付法律行為の当事者の一方は、条件の成就によって一定の利益を受けるという期待を有する。たとえば、停止条件付贈与契約における受贈者は、条件の成就により贈与を受けることができるという期待を有する。民法はこのような期待を一種の権利として保護しており、これを条件付権利と呼ぶ。期待権の一種である。

〔参考〕将来一定の事実が発生すれば、一定の利益を受けることができる地位のことを期待権と呼ぶ。条件付権利のほかに、期限付権利や相続権(相続人としての地位)も期待権であるとされる。

● 条件付権利の侵害

条件付法律行為の各当事者は、条件の成否が未定である間は、相手方の利益を害することができない(128条)。たとえば、停止条件付売買契約の売主が目的物を滅失・毀損したり、第三者に譲渡したりして将来の履行が不可能となった場合は、売主は債務不履行または不法行為にもとづく損害賠償責任を負う。

〔参考〕停止条件付売買契約の売主が目的物を第三者に譲渡した場合、第三者への譲渡は無効ではなく、買主(条件付権利者)と第三者とは対抗関係に立つ(先に対抗要件を具備した者が目的物の権利を取得する)。この場合において、買主が第三者より先に仮登記によって自己の権利を保全しておけば、条件成就後に本登記をすることによって、仮登記以後になされた売主の処分行為の効力を否定することができる。

第三者が条件付権利を侵害した場合は、不法行為が成立しうる。

● 条件付権利の処分・相続・保存・担保提供

条件付権利は、一般の規定に従って、処分、相続、保存ができ、また、これに担保をつけることができる(129条)。

▼ 条件の成就・不成就の擬制

● 条件の成就の妨害―条件成就の擬制

条件の成就によって不利益を受ける者が故意に条件の成就を妨げた場合、相手方はその条件が成就したものとみなすことができる(130条)。たとえば、Aが仲介業者Bに対してA所有不動産の売却のあっせんを依頼し、売買契約が成立すれば報酬を支払うと約束した場合において、AがBが見つけた相手方Cと直接取引することによって故意に仲介による契約の成立を妨害したならば、Bは、仲介による契約が成立しなくても、報酬を請求することができる(最判昭39.1.23)。

● 故意による条件の成就―条件不成就の擬制

条件の成就によって利益を受ける者が不正な手段によって故意に条件を成就させた場合については、規定がない。判例は、130条を類推適用して、相手方は条件が成就しなかったものとみなすことができるとする(最判平6.5.31―特定の条項に違反した場合にAがBに違約金を支払う旨の和解(条件付契約)が成立した後、Bが第三者に指示してAの違反を誘発させた事案)。

▼ 特殊な条件の効力

条件付法律行為の効力も法律行為一般の原則に従うが、民法は特殊な条件の効力について若干の注意規定を置いている。

(1) 不法条件

たとえば、「あの男を殺したら報酬を与える」「娘を殺さないでくれたら100万円与える」というように、不法な条件をつけた法律行為、および、不法行為をしないことを条件とする法律行為は、全体として無効である(132条)。公序良俗に反するからである。

(2) 不能条件

実現不可能(不能)な停止条件をつけた法律行為は無効であり(133条1項)、実現不可能な解除条件をつけた法律行為は無条件の法律行為となる(同条2項)。

(3) 随意条件(純粋随意条件)

たとえば、「気が向いたらお金をあげる」という約束のように、単に債務者の意思だけにかかる停止条件がついた法律行為は、無効である(134条)。当事者に法的拘束力を生じさせる意思がないものと認められるからである。これに対し、債権者の意思だけにかかる条件がついた法律行為は有効である(大判大7.2.14)。また、債務者の意思だけにかかる解除条件がついた法律行為も有効であると解される。

(4) 既成条件

法律行為当時すでに条件事実の成否が確定している場合は、本来の条件ではないから、127条は適用されない。そこで民法は、とくに規定を置いて、この場合、法律行為の効力は行為当時にすでに確定しているものとした。すなわち、条件が行為時すでに成就していた場合、停止条件であれば法律行為は無条件となり、解除条件であれば法律行為は無効となる。反対に、条件が成就しないことが行為時すでに確定していた場合、停止条件なら法律行為は無効となり、解除条件なら無条件となる(131条)。

まとめると、次の表のようになる。

  条件がすでに成就 条件不成就がすでに確定
停止条件 無条件 無効
解除条件 無効 無条件

問題演習(国家試験過去問題)

国家試験過去問題のなかから理解度チェックに役立つ良問を掲載しています。

 正誤問題

(司法平18-1-1 → 平成18年司法試験民事系第1問選択肢1)

(1) 停止条件付の法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効である。(司法平22-5-オ)

(2) 判例によれば、条件の成就によって利益を受ける者が故意に条件を成就させた場合には、相手方は、条件が成就していないものとみなすことができる。(司法平22-5-ア)

(3) AがBに対し「将来気が向いたら、私が所有する甲自動車を贈与する。」と約束したとしても、その贈与契約は無効である。(司法平27-5-ウ)

(4) 条件が成就することによって利益を受ける当事者が、不正な手段を用いて条件を成就させたとしても、条件は成就しなかったものとみなされる。(司法平19-4-ウ)

(5) 停止条件付売買契約において、条件の成否が確定する前に故意に目的物を毀損した売主は、期待権を侵害された買主に対して損害賠償責任を負う。(司法平19-4-イ)

(6) 条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合、その条件が解除条件であるときは無条件の法律行為となり、その条件が停止条件であるときは無効な法律行為となる。(司法平24-6-ア)

(7) 不法な条件を付した法律行為は無効であるが、不法な行為をしないことを条件とする法律行為は有効である。(司法平24-6-イ)

(8) 条件の付された権利は、その条件の成否が未定である間は、相続することができない。(司法平24-6-ウ)

(9) AがBに対し「私の所有する乙土地の購入希望者をBが見つけることができ、Bの仲介により売買契約に至れば、その仲介報酬を支払う。」と約束した場合、Aが、Bの見つけてきた乙土地の購入希望者との間で、Bの仲介によらずに直接乙土地の売買契約を結んだときは、Bは、Aに対し、仲介報酬を請求することができない。(司法平27-5-オ)

 正解

(1) 正  (2) 正  (3) 正  (4) 正  (5) 正  (6) 正  (7) 誤  (8) 誤  (9) 誤

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