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法人の設立・組織・公示

このページの最終更新日 2016年7月6日

【目次】

法人の設立

1 法人設立の立法主義

【表:法人設立の方式】

2 法人の設立手続き

〔参考:実体の形成〕

〔参考:設立時社員の人数〕

法人の機関

〔参考:理事会の有無と社員総会の権限〕

〔参考:機関設計の選択肢〕

〔参考:理事・取締役と法人との関係〕

法人の公示

〔参考:名称の使用規制〕

法人の消滅

〔参考:解散事由〕

問題演習

コメント

▼ 法人の設立

1 法人設立の立法主義

法人は、法律の規定を根拠として成立する(法人法定主義、33条)。法人の種類は設立の根拠となる法律によっていろいろあるが、法人の種類によって法人設立の方式が異なる。法人設立の方式には、次のようなものがある。

【表】法人設立の方式

特許主義 立法によって個別的に法人を設立する(例、日本銀行、特殊法人)
許可主義 主務官庁の裁量的判断である許可が必要(例、旧公益法人)
認可主義 行政庁の裁量権のない処分である認可が必要(例、各種協同組合、学校法人、医療法人、社会福祉法人)
認証主義 所轄庁の確認行為である認証が必要(例、宗教法人、NPO法人)
準則主義 法律が定める要件・手続きを満たせば、当然に法人格が付与される(例、一般社団法人・一般財団法人、会社、労働組合)
当然設立主義 法律上当然に法人となる(例、地方公共団体、相続財産法人)

関連事項

・法人の種類と設立根拠法について  法人とは

2 法人の設立手続き

一般社団法人、一般財団法人および会社は、法の定める手続きに準拠して設立される(準則主義、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、一般法人法と略称)11条~26条・152条~169条、会社法25条~103条・575条~579条)。法人設立の手続きに則して法人の実体が徐々に形成され、最終的に設立の登記によってはじめて法人格を取得し、法人として成立する(一般法人法22条・163条、会社法49条・579条)。

〔参考〕実体の形成

法人の実体の形成には、①定款の作成、②設立時機関の選任、③財産的基礎の形成という三つのプロセスが要求される。

(1) 定款は、団体の根本規則であって、記載事項には必要的なもの・相対的なもの・任意的なものがある(一般法人法10条~12条・152条~154条、会社法26条~29条・575条~577条)。定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じない(一般法人法13条・155条、会社法30条1項)。

(2) 法人は、それぞれの類型に応じて、設立時機関を選任する必要がある(一般法人法15条・21条1項・153条1項6号7号・159条・162条1項、会社法38条1項3項・47条1項・48条1項)。設立時の機関は、設立手続きを調査しなければならない(一般法人法20条1項・161条1項、会社法46条1項)。

(3) 一般財団法人と会社(株式会社・合同会社)は、財産の拠出ないし出資の履行、金銭の払込みによって法人の財産的基礎を形成する必要がある(一般法人法157条1項、会社法34条1項・63条1項・578条)。一般財団法人の場合は拠出する財産の価額は300万円を下回ってはならないが(一般法人法153条2項)、会社の場合には最低資本金に関する規制が存在しない。

〔参考〕設立時社員の人数

一般社団法人の設立時社員は2人以上必要である(一般法人法10条1項「共同して」)。もっとも、設立後であれば社員が1人になってもよい。これに対して、一般財団法人の設立者は1人でも2人以上であってもよい(一般法人法152条1項参照)。会社(合資会社を除く)の発起人等についても同様である(いわゆる一人会社)。

▼ 法人の機関

法人の活動は、現実には自然人のする意思決定や行為である。法人としての意思決定や行為を行うことができる地位にある自然人や会議体を法人の機関と呼ぶ。

法人の機関構成は法人の種類によって異なり、同種の法人であっても、その規模や目的に応じて違いが生じうる。

(1) 一般社団法人の機関

一般社団法人には、その構成人である社員が存在する。法人の意思決定は社員の総意にもとづくが、そのために社員全員によって構成される機関が置かれる。それが社員総会である(一般法人法35条以下)。そして、その意思決定にもとづき業務を執行する機関として理事が置かれる(同法60条1項・76条1項)。以上の二つの機関は必ず設置しなければならないが、定款に定めることによって、さらに理事会監事会計監査人を設置することが可能である(同法60条2項)。機関設計は原則として法人の自治に委ねられているが、理事会あるいは会計監査人を設置する場合は、必ず監事を置かなければならない(同法61条)。また、大規模な法人の場合には、監督機関である監事・会計監査人を置かなければならない(同法62条)。

〔参考〕理事会の有無と社員総会の権限

一般社団法人は、その意思決定過程を合理化するために理事会を設置することができる。理事会設置一般社団法人においては、業務執行の決定や代表理事の選定・解職が理事会の職務権限とされ、社員総会の決議権限が法律または定款に定める事項に限定されている(一般法人法35条2項・90条2項)。これに対して、理事会が設置されていない法人においては、社員総会は法人に関する一切の事項について決議をすることができる万能の意思決定機関である(同法35条1項)。

(2) 一般財団法人の機関

財団法人は、社団法人と異なり社員が存在せず、法人の根本的な意思決定は設立者が作成する定款(または遺言)によってなされる(一般法人法152条)。したがって、一応は一般社団法人の社員・社員総会に相当する機関として評議員(3人以上)・評議員会を設置するが、社員総会と異なり、定款の目的等の変更(同法200条1項)や解散を決議する権限はない(同法202条参考)。業務執行機関として理事(3人以上)・理事会を置き、監督機関として監事会計監査人を置く。なお、評議員・評議員会・理事・理事会・監事は、必置機関である(同法170条)。大規模な法人の場合には、会計監査人は必置である(同法171条)。

(3) 株式会社の機関

株式会社にも一般社団法人における社員総会・理事のような意思決定機関および業務執行機関が存在し、それぞれ株主総会取締役と呼ぶ(会社法295条以下・326条1項)。株式会社は、定款に定めることによって、さらに取締役会会計参与監査役監査役会会計監査人または委員会を置くことができる(同法326条2項)。公開会社は、必ず取締役会を設置しなければならない(同法327条1項)。取締役会を設置する場合には、監査役(監査役会)または委員会・会計監査人を必ず置かなければならない(同条)。大会社の場合は、監査役(監査役会)または委員会のほか、会計監査人を置かなければならない(同法同条・328条)。

〔参考〕機関設計の選択肢

一般社団法人の場合は5通りの機関設計の仕方があるが、一般財団法人の場合は会計監査人の有無による2通りの仕方しかない。株式会社の場合は、会計参与の有無を含めれば、39通りもの機関構成の仕方がある。くわしく知りたい方は、会社法の教科書を参照してほしい。

〔参考〕理事・取締役と法人との関係

法人(会社)と理事・取締役との法律関係には、委任の規定が適用される(一般法人法64条・172条1項、会社法330条)。したがって、理事・取締役は、その職務を行うに際していわゆる善管注意義務を負う(644条)。一般法人法83条・197条や会社法355条は、理事や取締役は、法人(会社)のため忠実にその職務を行わなければならないと定めるが、この忠実義務は通常の委任関係における善管注意義務と同一の義務であると解されている(最大判昭45.6.24)。また、理事・取締役は、法人と競業する取引や利益相反する取引を行うことが制限される(一般法人法84条1項・92条1項・197条、会社法356条1項・365条1項)。理事・取締役は、その任務を怠ったことにより法人に損害を与えたときは、法人に対して損害賠償責任を負う(一般示法人法111条1項・198条、会社法423条1項)。

関連事項

・法人の代表についての解説  法人の代表

▼ 法人の公示

法人は目に見える存在ではないから、第三者が安心して法人と取引するためには、法人の存在や内容が公示されていなければならない。そのための制度が法人登記制度である。また、法は、法人に対して、債権者などの利害関係人のために重要な情報の開示を義務づけている。

(1) 法人登記制度

法人はその設立の際、主たる事務所ないし本店の所在地において、法人の目的・名称・所在場所・機関に関する事項などの法人に関する重要事項を登記しなければならない(一般法人法301条・302条、会社法911条~914条)。多くの法人にとって、設立の登記は法人として成立するための要件である(一般法人法22条・163条、会社法49条・579条)。また、法人成立後も、登記事項に変更が生じた場合や主たる事務所を移転した場合など、さまざまな場面で登記が義務づけられている(一般法人法303条・304条、会社法915条・916条など)。

なお、法律の規定により登記すべき事項は、登記しなければ善意の第三者に対抗することができない。また、故意または過失によって不実の登記をした者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。(一般法人法299条、会社法908条)

〔参考〕名称の使用規制

法人は、その名称中に法人の種類を表す文字を使用しなければならず、かつ、他の種類の法人であると誤認されるおそれのある文字を使用してはならない(一般法人法5条・6条、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律9条3項4項、会社法6条・7条)。

(2) 情報開示制度

法人は、定款を事務所に備え置いて、利害関係者(社員・債権者)の閲覧等の請求に応じなければならない(一般法人法14条・156条、会社法31条)。その他にも、法人は一定の要件のもとで、社員名簿、議事録、会計帳簿・計算書類などさまざまな情報の開示が義務づけられている(一般法人法32条・57条・97条・121条・129条・193条・197条・199条、会社法125条・318条・371条・433条・442条・618条など)。

▼ 法人の消滅

法人が存立の基礎・理由を失った場合には、その存続を終了させるために、現務の結了や債権の取り立て・債務の弁済、残余財産の引渡しといった残務関係を整理する手続きに入る(一般法人法148条・202条・206条、会社法471条・475条・641条・644条)。これを法人の解散と言い、解散後の残務整理の手続きを法人の清算と言う。

〔参考〕解散事由

解散事由は、法人の種類や業種によって異なる。たとえば、一般社団法人であれば、一般法人法148条各号所定の事由(①定款で定めた存続期間の満了、②定款で定めた解散事由の発生、③社員総会の決議、④社員が欠けたこと、⑤合併(当該法人が消滅する場合)、⑥破産手続開始の決定、⑦解散命令・解散判決)のほか、休眠一般社団法人のみなし解散(同法149条)がある。一般財団法人の解散事由については一般法人法202条、会社の解散事由については会社法471条・641条参照。

解散後の法人は、清算の目的の範囲内において、清算が結了(完了)するまではなお存続するものとみなされる。これを清算法人ないし清算会社という(一般法人法207条、会社法476条・645条)。清算法人(清算会社)の権利能力は解散前の法人と同一性を有するが、権利能力の範囲が清算の目的の範囲内に限定される。

解散によって従来の理事ないし取締役等は当然にその職務権限を失い、代わって清算人が業務を執行し、法人を代表する(一般法人法213条1項・214条1項、会社法482条1項・483条1項・650条1項・655条1項)。清算人に就任するのは、原則として理事・取締役等である(一般法人法209条1項、会社法478条1項・647条1項)。

清算手続の結了によって、法人は完全に消滅する。

関連事項

・法人の権利能力と目的の範囲との関係  法人の能力(目的の範囲)

▼ 問題演習

国家試験過去問題のなかから理解度チェックに役立つ良問を掲載しています。

 正誤問題

(司法平18-1-1 → 平成18年司法試験民事系第1問選択肢1)

(1) 一般社団法人に理事が複数ある場合には、必ず理事会を置かなければならない。(司法平25-7-ウ)

(2) 一般社団法人が代表理事を定めた場合には、必ず理事会を置かなければならない。(司法平25-7-エ)

(3) 一般社団法人が理事会を設置した場合には、必ず監事を置かなければならない。(司法平25-7-オ)

 正解

(1) 誤  (2) 誤  (3) 正

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