■物権変動の意義
1.物権変動 … 物権の発生・変更・消滅(物権の得喪変更)
2.原始取得・承継取得
(1) 原始取得 … 他人の権利に基づかない権利の取得(前主の瑕疵や負担を承継しない)、例:無主物先占・時効取得・即時取得
(2) 承継取得 … 他人の権利に基づく権利の取得(前主の瑕疵や負担を承継する)、例:法律行為・相続・抵当権設定
物権の発生、変更および消滅を総称して、物権の変動という。物権の変動を物権の主体からみれば、物権の得喪(取得・喪失)・変更となる。物権の変動は、さまざまな原因によって生じる。
物権の取得には、原始取得と承継取得の2種類がある。
(a) 原始取得とは、他人の権利に基づかずに権利を取得することであり、無主物先占(239条)や時効取得(162条)、即時取得(192条)などがこれにあたる。原始取得は、新しい権利の取得であるから、前主の下での瑕疵や負担を承継しない。
(b) 承継取得とは、他人の権利に基づいて権利を取得することである。前主の権利の承継であるから、前主の下での瑕疵や負担もあわせて承継する。承継取得には、法律行為(売買等)や相続などのように、前主の権利をそのまま承継する場合(移転的承継)と、地役権や抵当権の設定のように、前主の権利内容の一部を承継する場合(設定的承継)とがある。