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婚姻の届出と婚姻意思

このページの最終更新日 2016年5月5日

▼ 婚姻の要件

法律上、婚姻が有効に成立するためには、次のような要件を満たさなければならない。

① 婚姻の当事者間に婚姻をする合意(婚姻意思の合致)があること

② 婚姻の妨げとなる法律上の事由(婚姻障害)が存在しないこと

 (ア) 婚姻適齢に達していること(731条)

 (イ) 重婚でないこと(732条)

 (ウ) 女について再婚禁止期間を経過していること(733条)

 (エ) 一定の範囲の近親婚でないこと(734条~736条)

 (オ) 未成年者について父母の同意を得ること(737条)

③ 婚姻の届出をすること(739条)

①と②の要件が婚姻の実質的要件であり、③の要件が形式的要件である。

このページでは、①と③の要件(婚姻意思と婚姻の届出)について説明していく。②の要件(婚姻障害)については、ページを改めて説明することにする。

〔考察〕日本の婚姻法制上、婚姻は戸籍上の届出をすることによって成立する(届出婚主義)。たとえ結婚式を挙げ、あるいは夫婦として同居を始めたとしても、法律上の届出をしないかぎり、法的には夫婦として認められない。逆に、婚姻届を提出して受理されれば、挙式をしなくても、法律上は立派に夫婦となることができる。

▼ 婚姻の届出

婚姻は、戸籍法上の届出をすることによって成立する(739条1項、戸籍法74条)。法文上は届出によって「効力を生ずる」と規定されているが、一般には婚姻の届出は婚姻の効力要件ではなく成立要件であると解されている。

(1) 届出の方法

届出は、当事者双方および成年の証人2人以上が書面または口頭によって行う(739条2項、戸籍法27条)。書面によって届出をするときは、所定の様式の届書(婚姻届)によって行わなければならない(戸籍法28条)。婚姻届に必要事項を記載して当事者および証人が署名捺印し、市町村長にこれを提出する(戸籍法29条・33条)。婚姻届の提出先は、本籍地でも、新居の住所地でも、旅行先でもよい。

当事者本人が届書に署名することができないときは、本人以外の者に本人の氏名を代書させ、本人が印をおすだけで足りる(代理署名、戸籍法施行規則62条1項)。

夫婦になる当事者が婚姻届を提出先の市区役所・町村役場窓口に持参するほか、第三者に提出を委託したり、郵送したりすることによっても届出は受理される(戸籍法47条参照)。

婚姻の届出は挙式の前後に行うことが多いであろうが、その時期に関する法律上の定めはない。

(2) 届出の受理

婚姻の届出がなされると、戸籍事務管掌者である市町村長は、その婚姻が法令の規定に違反しないかどうかを形式的に審査した後にその届出を受理する(740条)。

婚姻の届出は、市町村長がそれを受理することによって効力を生じ、婚姻が成立する。戸籍への記載は、効力発生の要件ではない(大判昭16.7.29)。

▼ 婚姻意思の合致

婚姻が有効であるためには、婚姻の当事者双方に婚姻をする合意(婚姻意思の合致)があることが必要である。当事者間に婚姻意思がないとき、その婚姻は無効である(742条1号)。

婚姻意思とは何かについて議論がある。通説は、婚姻の実体を重視する立場から、社会通念にしたがって夫婦といえるような生活関係を形成する意思が婚姻意思であると解している(実質的意思説)。これに対しては、身分関係の安定を重視する立場から、婚姻意思とは婚姻の届出をする意思であると解する見解もある(形式的意思説)。

この点について、判例は、婚姻意思を「当事者間に真に社会観念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思」であると解し(実質的意思説)、子に嫡出子としての地位を得させるための便法として婚姻の届出をしても、そのような婚姻は婚姻意思がないのであるから効力を生じないとする(最判昭44.10.31)。

▼ 婚姻意思の存在時期と届出

前述したように、婚姻しようとする当事者が婚姻届を作成してこれを提出し、市町村長がその届出を受理することによって婚姻が成立する。そして、婚姻が有効であるためには、当事者間に婚姻意思が存在しなければならない。

もっとも、婚姻意思をもって届書を作成してから届出が受理されるまでの間には時間差があるので、婚姻意思が届出受理の時点において存在しない場合が生じうる。その場合の婚姻の効力が問題となる。

(1) 当事者が翻意した場合

届出が婚姻の成立要件であるとすると、届出受理時にも婚姻意思が存在していなければならない。したがって、当事者が受理時までに翻意して婚姻意思を失っていた場合には、婚姻は無効となる。ただし、翻意した当事者は、相手方に対してその旨を表示するか、または、戸籍役場に不受理申出(戸籍法27条の2第3項)をしなければならないと解されている。

(2) いわゆる臨終婚の場合

判例は、当事者間で婚姻届が作成され、作成当時は婚姻意思を有していて、事実上の夫婦共同生活関係が存続していたところ、婚姻届受理までの間に夫が昏睡状態に陥って意識を失い、間もなく死亡したという場合において、届出受理前に翻意するなど婚姻意思を失う特段の事情がないかぎり、婚姻は有効に成立すると判示している(最判昭44.4.3)。

なお、届出受理時に当事者が死亡していた場合、届出は効力を生じない(大判昭16.5.20)。ただし、届出人が生存中に届書を郵送していたときは、死亡後であっても届出は受理され、届出人の死亡時に届出があったものとみなされる(戸籍法47条)。

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